志賀高原周辺 大平山(1824m) 2016年3月26日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:20 ゲート−−6:57 林道を離れる−−7:31 標高1250mで尾根に乗る−−9:28 1730m肩−−9:53 1820m峰−−10:02 大平山山頂−−10:04 1820m峰 11:02−−11:12 1730m肩−−11:52 標高1250mで尾根を離れる−−12:05 林道−−12:21 ゲート

場所長野県下高井郡高山村
年月日2016年3月26日 日帰り
天候
山行種類残雪期藪山
交通手段マイカー
駐車場林道ゲート手前に駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無残雪が少なく、林道を離れた時点から充分な量の雪が現れるまで笹藪。山頂付近の稜線は灌木藪
危険個所の有無1820m峰〜山頂間は痩せ尾根。転落注意
山頂の展望西側以外は展望良好
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コメント樋沢川沿いの林道ゲートから東に入る林道を登り、林道最高点から尾根に登り山頂を往復。残雪が予想以上に少なくどこでも笹が出ていた。おそらく大型連休には雪は完全に消えて無くなっているだろう




ゲートまで入れた ゲートから東へ延びる林道
古い地図では「山の家」 山の家近くの祠
林道最高点 林道最高点から斜面に取り付く
たまに無毛地帯もあり 薄い笹の急斜面を登る
岩場もあるが通過の必要なし 小尾根に取り付く
標高1250mで北西尾根に乗る 標高1310m付近
標高1400m付近 標高1550m付近
標高1640m付近 標高1730m肩直下
標高1730m肩。初めて樹林が開ける
1730m肩から見た後立山 1730m肩の先で再び樹林へ
1730m肩の少し上部から見た北槍穂〜後立山南部(クリックで拡大)
1730m肩の少し上部から見た後立山(クリックで拡大)
真っ白なシラビソが増える 雪が付いた灌木藪に突入する場面も
山頂部の西端
1820m峰から見た東〜南側。稜線は藪が酷い
これに潜るのはイヤなので北斜面を巻いた 大平山山頂
大平山から見た東半分の展望
大平山から見た360度パノラマ展望
1820m峰に戻って休憩。いい天気で暖かい 山頂部でもこの程度の積雪。たぶん50cmくらい
往路の自分の足跡の上にカモシカの足跡あり 北西尾根を離れて西に下る
カモシカに遭遇 林道に出た
ゲート到着。新雪はほぼ消える


 志賀高原周辺部には標高が高い山がいくつもあるが、植生は根曲がり竹が予想されるため残雪気に出向くのが通常の考え方だろう。大平山もそんな山の一つで老ノ倉山の西側に位置する。割と近くに林道が通っているが、標高が1800mを越えているので密生した根曲がり竹の確率はかなり高いと見た。

 山名は「おおだいらやま」。山頂が平らな印象を受けるが、地形図を見ると東西方向に細長く南北方向は痩せている。登山道は無く、例の如くネット検索で出てくるのはDJF氏とその他少数のみのマイナーな山だ。

 残雪期に登るなら福井原集落のある北西尾根が一番アプローチがよく、傾斜が適度で登りやすそうと考えるのは誰も同じようで、DJF氏もこのルートで往復している。ただし、彼が登ったのは厳冬期でスキー利用。今は3月終わり近く、今年は例年に無く残雪が少なく尾根下部はもう雪が無いと予想された。標高が高い場所でもどれだけ雪が残っているのか不安な状況で、下手をすると長時間藪漕ぎの可能性もある。しかし残雪たっぷりのもっと標高が高い山はほとんど登り尽くしているので、大平山は適度な選択に思えた。もっと登る時期を遅らせると本当に雪が無くなってしまうだろう。

 イヤらしいことに金曜日に降雪があり、標高が高いところはそれなりに新雪が積もったと予想された。数日間経過すれば雪が締まってちょうど良くなりそうだが降雪翌日ではラッセルが必要で、さらには笹や潅木藪に雪が乗ったままで、藪に突っ込むと頭から雪を被ることになる。でも他に適度な場所も思い浮かず、計画どおり大平山を目指した。

 福井原集落にはほとんど雪は無くゴルフ場まで入っても雪がない。これは本当に藪漕ぎになりそうだ。まだ林道が使えるのでできるだけ標高と水平距離を稼ごうと奥へと入る。路面には雪が積もっているがほぼ全てが新雪で古い雪が残るのは僅かな場所だけだった。結局、樋沢川を渡る手前のゲートまで入ることができたが、周囲は植林+新雪が乗った笹で苦労の予感だ。

 最初から笹藪斜面に突入するのはうんざりなので、ゲート手前から東へと入る林道を歩くことにした。入口にはロープが張ってあるが施錠は無く車で入れないことはないが、ぬかるんで普通車では厳しい路面状況だった。カーブで大きな建物があったがこれが古い地図に出ている「山の家」らしい。昔はこの付近に登山道があったのだろうか?

 その先で林道は南に進路を変えて僅かずつ高度を上げる。周囲は相変わらず唐松植林と笹藪。古い雪は全く残っていなかった。林道の最高地点で林道を離れて笹の斜面へ踏み入る。最初はピッケルで笹に乗った雪を叩き落しながら進んだが、すぐに面倒になって体に雪が付着するのを我慢。幸い、気温が低くてほとんど雪は溶けないので衣服もさほど濡れなかった。

 上部はかなりの傾斜で岩場も登場するが、左に迂回して笹の急斜面を登り続ける。笹の密度はまだそれほどではなく高さも腰くらいなので大きな障害にはならなかった。それでも時々出現する「無毛地帯」に比較すれば鬱陶しい存在だ。西斜面なのでもとも残雪は少ないはずだが、周囲には薄く積もった新雪以外は雪がない。

 やがて小尾根に乗って笹の中を登り続け、傾斜が緩んで北西尾根に到着。残念ながら尾根上も新雪以外は大して雪は残っておらず立った笹が続く。それでも尾根直上より左側(東側)は僅かに古い雪があり笹が寝た場所もあるので、以降はほとんど尾根の東側を進んでいった。

 標高1400mになると尾根が広がると同時に積雪が増えて笹が目立たなくなってきた。地形的には読図が難しい場所だが、登りは上を目指せばいいのでお気楽だ。雪の上に往路の足跡が残るので帰りにルートミスする危険もない。新雪の深さは10cmくらいだがパウダースノーで非常に軽く足への抵抗はほぼ感じなかった。新雪の下の古い雪は良く締まって沈まないので、背中に背負ったスノーシューの出番はまだない。

 カラマツ植林は延々と続き、もしかしたらこのまま山頂まで植林かと思わせるくらいだったが、1720mくらいで尾根西側にシラビソが目立つようになり、1730m肩で植林が終わってシラビソを中心とする自然林に切り替わった。そしてこの肩は樹林が開けて展望が得られる数少ない場所だった。西には真白な後立山。さすがに雪が豊富だが、あそこには私の未踏峰はもうない。

 小鞍部から登りにかかると笹藪から潅木藪へと植生が変わった。相変わらず残雪は少なく藪が出たままで、その藪の上に新雪が乗っているのだからタチが悪い。今度こそはピッケルを使って枝に乗った雪を叩き落しながら進んでいく。やがてシラビソ樹林帯に変わると藪が消えて歩きやすくなるが完全には無くならず、部分的には潅木藪の中に潜り込む場面もあった。両側の傾斜がきつくなり雪を被った藪を避けて左右に迂回するにも気をつける必要が出てきた。特に北側斜面は部分的には新雪の下はツルツルの氷なんて場所もあった。まだスノーシューもアイゼンも装着していないので、凍結個所の通過はピッケルだけが頼りだった。雪を被った藪に突っ込めば凍結斜面のトラバースなどしなくていいのだが。

 傾斜が緩めば大平山の山頂の一角だ。地形図によると東西に小ピークが並び、東のピークに標高点を取っているのでそちらまで進む必要がある。最初の1820m峰までは比較的広い尾根で藪もそれほどではなく、1箇所くらいトラバースするだけで達することができた。でもその先は盛大に潅木が出ていて雪の恩恵が無さそうだ。ここでザックを置いて空身で往復することにした。できるだけ藪に引っかかる要素を取り除いた方がいい。

 ピッケルで潅木に乗った雪を叩き落しながら進んでいく。やせ尾根で南側は切れ落ちているようだが、どちらにせよ潅木藪が濃くて南側には近づけない。北側は急斜面だが比較的背の高いシラビソが中心で藪を避けてトラバースできそうなので北側に下ってトラバース。急斜面とは言え少し高度が落ちると緩斜面に変わるので、もし滑落しても大した怪我に発展することはなさそうな場所で、ピッケルを使いつつも安心して通過できた。

 そろそろ尾根上の藪が薄くなってきて尾根に復帰してもいいだろうと藪の隙間から尾根上に出ると山頂は目前だった。山頂は西側を除いて低い潅木しか生えていないので割と開けた場所で展望が得られた。正面には1872m峰。その右手には御飯岳、毛無峠、破風岳と続く。御飯岳もかなり雪が少なそうだ。今年は大型連休には志賀高原の雪はほとんど無くなってしまうだろう。今回は結局、スノーシューもアイゼンも使わずつぼ足で充分だった。

 荷物は1820m峰に残したままなので、写真だけ撮影してとんぼ返りで1820m峰で休憩。ここは周囲は背の高い木で展望は無いが、尾根上は立ち木が少なく上空は開けて日当たりがいい。太陽が降り注いで日焼けしそうないい天気だった。どうせ下りは北向きだし樹林の中なので日焼けの心配は無く、顔に日焼け止めは塗らずに体を北に向けて休憩した。ペットボトルの水を飲もうとしたら飲み口が凍り付いて水が出てこない! たぶん今日登っている間に凍ったわけではなく、車中泊の間に凍ったのだろうと思う。全部が凍っているわけではなかったのでボトルを強く振って水が出てきた。明日はテルモスにお湯にするか。

 帰りは自分の足跡を辿ればいいのでお気楽だ。しかも往路で藪に乗った雪は落としてきたので頭から雪をかぶって体が濡れることもない。途中で私の残した足跡が1人分ではなく複数分に見えたので不思議に思うと、新鮮なカモシカの足跡が私の足跡の上に付けられていた。どうやらカモシカもラッセルを楽したいらしく、私が木を避けて曲がりくねったトレースを正確に歩いていた。

 標高が落ちると笹が徐々に目立つようになり、往路の足跡が判別しにくくなってきたが、尾根から西斜面へ登りついた場所は無事に特定でき、あとは林道まで適当に下るだけ。西斜面は雪が残っていないので足跡が残らず、尾根上以外は往路はどんな風に歩いたか不明なのだ。どうせ周囲の植生はどこも同じなので、できるだけ笹が薄い場所や笹が無い場所を適当につないで西を目指す。西に下れば往路の林道のどこかに必ず出るはずだ。

 笹の斜面を下っていると2つの黒い物体が走り去るのを発見、熊かと思ったが途中で止まってこちらを振り向いたまま固まっている姿はカモシカであった。私が目撃したことがあるカモシカは全て単独であり、今回のように2頭が寄り添った姿は初めて見た。少しばかり小さい方はまだ子供なのだろうか? でも体の大きさはほぼ同じといっていいくらいだった。しばらくじっとこちらを見ていたが、私が写真撮影を終えてカモシカに接近しないように尾根を外して下り始めると斜面の反対側へ去っていった。

 そして林道に到着。往路で斜面に取り付いた場所より北側だった。帰りのルートの方がちと笹が濃かったが、気温が上がって笹の雪は落ちているし、下りなので多少の笹は問題にならない。

 短い林道歩きは路面がぬかるんで靴の裏が雪団子ならぬ泥団子状態。できるだけ雪が残った場所を通過する。舗装された林道に到着すると、林道上の雪はすっかり消えていた。

 

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